一橋大学法学部の角田美穂子教授とケンブリッジ大学法学部のフェリックス・シュテフェック准教授の編著『リーガルイノベーション入門』が弘文堂から2022年3月24日に発刊されました。
同書は2020年度に一橋大学で実施されたリーガルイノベーションに関する集中講義と法学部の新入生向けに行われた「実体法と社会」の講義(民事法③)を一冊の本にまとめたものですが、現代社会で急速に進行しているデジタル化、情報技術の革新、AIの進化と利用などに対し、法に携わる者はいかに向き合い、対応していくことが求められているのかを追及した、とても刺激的な書籍です。 本書の冒頭の「プロローグ」では、東日本大震災で74名の児童と10名の教職員が犠牲になった大川小学校津波被災事件の遺族側の代理人として国家賠償請求訴訟を担当した当事務所の齋藤雅弘と吉岡和弘弁護士(仙台弁護士会)及び角田教授の3名による鼎談(「大川小学校児童津波被災事件訴訟から私たちは何を学ぶのか」)が掲載されています。 本書では、この事件に関する遺族訴訟代理人の活動を通じ、新たな法理の創造や訴訟における裁判官の判断枠組みを変えさせるための発想や工夫がいかにしてなされたのか、それはリーガルイノベーションにおいてどのような意味があったのかを提示し、本書のその後のパートにおける中心的な議論に繋がる問題提起がなされています。 本書の内容については、弘文堂のHP(下記)を参照してください。 https://www.koubundou.co.jp/book/b600021.html 2021年9月17日、順天堂大学が、平成29年度・平成30年度の医学部入学試験において、女性や浪人生といった属性を不利益に取り扱う判定基準を事前に明らかにすることなく入学試験を実施したことは不法行為に該当するとして、対象となる受験生に対し、入学検定料等の返還義務があることを認める判決が、東京地方裁判所にて言い渡されました。
上記判決は、消費者裁判手続特例法に基づき、特定適格消費者団体消費者機構日本(COJ・コージェイ)が原告となり、受験生に代わって、支払義務があることの確認を求めた共通義務確認訴訟の判決であり(医学部の不正入試に関する事案としては、東京医科大学に続き2件目の判決となります)、当事務所の本間紀子弁護士が、消費者機構日本から委任を受け、同団体の代理人として関与しています。 現在、第2段階に位置づけられる簡易確定手続が開始されており、対象となる受験生の方々は、消費者機構日本に債権の届出を依頼することにより、入学検定料等の返還を受けることが可能です(但し、損害との因果関係がない場合、たとえば不利益な判定基準が用いられることを事前に知っていたとしても出願していた場合等は除く)。 返還請求手続きの詳細は、消費者機構日本のウェブサイト「現在進行中の被害回復関係裁判案件」にてご確認ください。 なお、返還を受けるための手続きの締切が、2022年3月28日(月)となっています。締切後は、本制度を利用して入学検定料等の返還を受けることができなくなりますので、ご注意ください。 当事務所の齋藤雅弘弁護士が関わった大川小学校津波被災事件についてまとめた書籍『水底を掬う─大川小学校津波被災事件に学ぶ』(信山社)が2021年11月20日に発刊されました。
東京大学名誉教授の河上正二先生からお誘いを受けて、この事件を一緒に闘った吉岡和弘弁護士と3名でまとめた本です。 大川小学校津波被災事件の事案の内容と国賠訴訟の地裁、高裁判決の意義などを書いた本ですが、「法」は、「社会」は、この事件とどう向き合うかという重たいテーマも扱っています。 本書は3部構成となっており、第1部は河上先生の導入部分、第2部は大川小国賠訴訟について1審判決、控訴審判決のそれぞれの意義、特に仙台高裁判決の示した組織的過失の意味やその射程などについて述べています。また、第3部は著者3名の鼎談となっており、大川小国賠訴訟だけでなく秋田の亡津谷裕貴弁護士の国賠訴訟や豊田商事国賠訴訟などにも触れながら、亡津谷弁護士のことも語っています。 こちらからお買い求め頂けます→https://www.shinzansha.co.jp/book/b10001500.html 東日本大震災の大川小学校津波被災国賠請求訴訟を扱ったパオネットワーク社の寺田和弘監督によるドキュメンタリー映画「いのちの記録~大川小津波裁判を闘った人たち~」(仮題)のクラウドファンディングが無事、終了しました。
全国の317名の方から合計460万1000円のご寄付を頂戴しました。 これを踏まえて、クラウドファンディングをしていただいた方への御礼として、去る11月21日に石巻市の大川小学校の遺構において、原告遺族による語り部の会を開催し、40名をこえる皆さんのご参加を頂きました。 ご支援、ご協力を頂きました方々に深く感謝を致します。 (弁護士吉岡和弘、弁護士齋藤雅弘) 当事務所の齋藤雅弘弁護士と後藤巻則早稲田大学教授、池本誠司弁護士の3名の著書『条解消費者三法』(弘文堂)の第2版が、4年余りの改訂作業を経て8月末に弘文堂から公刊されました(www.koubundou.co.jp/book/b584699.html)。
同書は、2015年5月に初版が発刊された後になされた消費者契約法、特定商取引法及び割賦販売法の改正をほぼ盛り込んだ改訂版となっております(今年の特定商取引法改正も簡単に触れてあります)ので、これらの法律の解説書としては、少なくとも現状では決定版と思います。 総頁数が2040頁と初版にも増して分厚い書籍となっていますが、定価は1000円アップ(2万1000円+消費税)で抑えており、弘文堂にはかなりお世話になりました。 コンメンタールですので、事件処理や論文執筆においてお困りの際の「辞書」代わりにお使い頂けるのではないかと思います。 皆様にひろくご利用を頂けることを期待しております。 当事務所の齋藤雅弘と仙台の吉岡和弘弁護士が取り組んできた、大川小学校の国賠訴訟の成果と教訓を広く残すために、2人で共同して「津波と学校防災─大川小学校の被災事件から」執筆しておりますが、これらのエッセイが3回にわたりみすず書房が発行する月刊誌「みすず」に連載されています。
第1回目の「津波で被災するというここと」は、既に「みすず」2021年7月号(No.705)2頁に掲載(https://www.msz.co.jp/book/magazine/202107/)されています。ここでは、津波被災の恐ろしさを大川小学校の被災事件を取り上げながら紹介し、事前防災の重要性などを指摘しています。 第2回目「『我が子の代理人弁護士』として」は、同誌9月号(No.707)30頁に掲載(https://www.msz.co.jp/book/magazine/202109/)されています。 第3回目(最終回)「悲劇を繰り返さないために」は、同誌11月号(No.709)33頁に掲載(https://www.msz.co.jp/book/magazine/202111/)されました。 お読み頂けると幸甚です。 当事務所の齋藤雅弘弁護士が原告ら遺族の訴訟代理人を勤めた、東日本大震災の大川小学校津波被災国賠請求事件では、皆様から沢山のご支援を頂きましたことを感謝致します。
すでにご案内のとおり2018年4月2日、仙台高裁は、石巻市、同市教委、大川小の校長らの組織的過失を認める画期的判決を言渡し、2019年10月10日に最高裁もこれを是認しました。 原告ら遺族と訴訟代理人の吉岡和弘弁護士及び齋藤雅弘弁護士は二度と同種被害を発生させることのないよう、この事件を後世に伝えていく方法は何かとこれまで考えてきましたが、今般、映像制作会社パオネットワークの寺田和弘監督が「いのちの記録~大川小津波裁判を闘った人たち~」(仮題)と題するドキュメンタリー映画を制作してくれることになりました。 そこで、大川小学校で起きた悲劇を繰り返さない活動に、皆様にも一緒に参加を頂ければとの願いも込めて、この映画の制作に要する費用のご支援を広く呼び掛ける方法で皆様の参加をお願いしたいと考えて、クラウドファンディングを本年7月1日から始めましたので、ご案内を申し上げる次第です。 制作を目ざす映画の概要及びクラウドファンディングの内容は、添付のチラシ(←ここをクリックしてチラシを見る)をご参照頂ければ幸甚ですし、具体的なご支援の方法などについては下記のURLをクリックして頂ければご理解を頂けるようになっております。 制作支援プロジェクト - クラウドファンディングのMotionGallery(motion-gallery.net) https://motion-gallery.net/projects/20110311kiroku また、お忙しい中、大変恐縮ですが、お知り合いの方々に広めていただければ大変有り難く存じます。是非、目標額に到達させて、いい映画を作りたいと思っております(弁護士吉岡和弘、弁護士齋藤雅弘) 2020年3月6日、東京医科大学が平成29年度・平成30年度の医学部入学試験において、性別や浪人年数等の属性を理由に得点調整を行ったことは不法行為に該当するとして、対象となる受験生に対し、入学検定料等の返還義務があることを認める判決が、東京地方裁判所にて言い渡されました。当該判決は、消費者裁判手続特例法に基づき、特定適格消費者団体消費者機構日本(COJ・コージェイ)が原告となり、受験生に代わって、支払義務があることの確認を求めた共通義務確認訴訟の判決であり、当事務所の本間紀子弁護士が、消費者機構日本から委任を受け、同団体の代理人として関与しています。
消費者裁判手続特例法による集団的消費者被害回復訴訟制度は、第1段階の共通義務確認訴訟と、第2段階の簡易確定手続の大きく2つに分かれており、対象消費者は、第2段階の簡易確定手続に参加することで、被害回復を受けることが可能となっています。そして、2020年7月10日より、この第2段階の簡易確定手続が始まっています。対象となる受験生は、第1段階の共通義務確認訴訟を担った特定適格消費者団体(本件では消費者機構日本)に依頼をして、同団体を通じて債権を届け出ることにより、入学検定料等の返還を受けることが可能です(但し、損害との因果関係がない場合、たとえば得点調整がなされることを予め知っていたとしても東京医科大学に出願していた場合等は除く)。 この第2段階の簡易確定手続には債権の届出期限が設けられており、入学検定料等の返還を求めるには、2020年9月20日までに、消費者機構日本との間で授権手続きを済ませる必要があります(団体の事務処理手続上、裁判所への届出期限よりも参加〆切りが早めに設定されていますので、ご注意ください)。対象となる受験生の方々は、消費者機構日本にお問い合わせください。 また、手続きの詳細は、消費者機構日本のウェブサイト「現在進行中の被害回復関係裁判案件」でご確認ください。 |